一年でいちばん昼が短く、夜の長いとき。そしてこれを境に、少しずつ日脚が伸び、春の訪れを待ちわびる人びとの気持ちも高鳴ります。
花の形が矢を入れる容れ物「靭(うつぼ)」に似るところから名づけられた植物「靭草(うつぼぐさ)」は、夏になると花が枯れ黒くなるため、「なつかれくさ」と称されます。また、夏枯草(かこそう)、乃東(だいとう)と呼ばれることもあります。夏から冬にかけていったんその力を弱めた太陽が、冬至の日を境に少しずつ再生していく様と、あらゆる草木が枯れ果てていくこの季節に、この草だけが芽を吹き始める姿が、寒さの中に春への希望をもたらす共通のイメージをかもし出します。