お正月のご馳走といえば、お雑煮。素材やスタイルは違えども、日本列島津々浦々で、同じ「お雑煮」の名で呼ばれるものを一斉に食すわけです。
ただ、おそらくは、ご実家やご結婚相手のお家で受け継がれてきた、というお雑煮を召し上がっている方が大多数だと想定されますので、隣家のお雑煮の中身さえよく知らないのが実情ではないでしょうか。ましてや、よその地方のお雑煮、気になりますよね。
そうした声は案外多いようで、「くらしのこよみ」編集統括・田中宏和の報告によれば、京都のデパートで、写真入りの「47都道府県お雑煮地図」なるものが配布されていたとか。また、沖縄では、お正月にお雑煮をいただく習慣に馴染みがない、という新聞記事を先日読みました。雑煮の代わりというわけではないでしょうが、お正月には豚の腸を使った「中身汁」などが食されるのだとか。これもまた、伝統的な食習慣が保たれているひとつの姿ですね。
さて、「くらしのこよみ友の会」研究員は、2020年新春、どのようなお雑煮を召し上がったのでしょうか? 皆さまの投稿をもとに、まとめてみます。
……なるほど、なるほど。
土地の気候風土に根差した素材、家々の歴史を偲ばせる味つけ、さらに代々のつくり手がお好みや時代に応じたアレンジを少しずつ加えて、現在の各家のお雑煮があるのだということがよくわかりました。そして、その多彩なこと。
「土地×歴史×好み=ウチの雑煮」の方程式、答えは家族の数だけあるということですね。
そんなことを実感しつつ、田中宏和の投稿からひとこと引用して締めたいと思います。
「都道府県というメッシュも粗いんだろうと思うのです。市区町村や地区レベルでも違うでしょうし、家ごとにも違ったりする。お正月の迎え方、過ごし方は千差万別だけれども、あらゆる人が平等に大晦日を迎え、元旦を迎えるところに、行事の面白さがあるのだなと感じ入っております。
何はともあれ「違いがわかる」は大事だなと思うわけです。
くらしのこよみ友の会では、微細な差異への感性の解像度を高めていきたい、それら差異への表現を磨いていきたい、と考えております。」