重陽と菊
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お菓子を買いにいくと、9月に入ったとたんに菊の花。銘は「主草(あるじぐさ)」。「草の主(くさのあるじ)」からの銘。
菊は身近だからか、うたわれることが多いからか、様々の名で呼ばれ、人の話題になるようです。
能には、『菊慈童』など、そのものずばり菊が印象深い曲もありますが、菊は様々に隠れて出てきます。例えば宝生流『伏見』には、「翁草」という名前が白菊の異名として出てきます。粟が炊ける間の短い夢の中で栄華を極めたシーンが印象的な『邯鄲』では、「栄華もいやましに なほ喜びはまさり草の 菊の盃とりどりに」というふうに、「まさり草」という菊の呼び方が、「喜びがまさる」と「菊の盃」を橋渡ししています。
あきらこ