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くらしのこよみ友の会 研究員の皆さんの重陽の節句

菊をいただき、長寿を願う

古来、薬効あらたかな植物として、中国をはじめとしたアジア圏で広く大切にされてきた菊。
健康や長寿を願う象徴として、衣食住を彩る身近なデザインとされますし、花期を迎える秋ともなれば、食物として体に取り込んで、齢を延ぶる神仙の力にあやかるのも、また美味しい季節の愉しみですね。今年、会員の皆さんはどのように菊を愛でたのでしょうか。

重陽と菊

お菓子を買いにいくと、9月に入ったとたんに菊の花。銘は「主草(あるじぐさ)」。「草の主(くさのあるじ)」からの銘。
菊は身近だからか、うたわれることが多いからか、様々の名で呼ばれ、人の話題になるようです。
能には、『菊慈童』など、そのものずばり菊が印象深い曲もありますが、菊は様々に隠れて出てきます。例えば宝生流『伏見』には、「翁草」という名前が白菊の異名として出てきます。粟が炊ける間の短い夢の中で栄華を極めたシーンが印象的な『邯鄲』では、「栄華もいやましに なほ喜びはまさり草の 菊の盃とりどりに」というふうに、「まさり草」という菊の呼び方が、「喜びがまさる」と「菊の盃」を橋渡ししています。

あきらこ

寿盃浮菊歓(じゅはい きくをうかべ かんす)

菊花令人寿(きっか ひとをして いのちながからしむ)。

貝原益軒『養生訓』には「菊花を食すれば養生の上薬とす。身をかろくし、年をのぶるよし」とあり、これにより、菊に齢草(よわいぐさ)、翁草、千代見草、黄金草などの異名もあるのだそう。

今年の新暦・九月九日重陽節供には、生食菊ではなく干し菊を青森県から取り寄せてみました。

まるでお月様のような干し菊です!

東北の方では乾燥菊の生産が豊かだそうで、東北の皆さまはどんなメニューをお作りになるのか? 興味津々です。あまりに美しくて、ほぐすのが勿体ないほどでした。

菊の露を飲んで不老不死となったという『菊慈童』の物語から、菊水には長寿延命の縁起が込められたとの謂れ。

活火山の恵み豊かな九州山地の水源へ、湧き水をとりに出かけました。こんな小さな用事が、大きな喜びにふくらんでいくところが、日本の歳時の楽しみと言えると思います。

さて主役の干し菊はと言うと、シャキッと歯応えあり、生食菊のような苦味がなく、家庭ならではの「エディブルフラワー菊餅」の出来上がりです!
準備ととのい、小さなお茶会をやりました。

みうきい

里芋団子の菊花あん

陽極まりし9月9日、重陽。

古来中国には、重陽のお節供に茶菓や酒肴を持って高いところに登り、野宴をはる「登高」という風習があったそうです。
「以って遠くを眺望すべし」。その意味を想像しながら、今年はもちもちと練り上げた里芋のお団子に、菊花の薬効を添えてお供え致しました。

茶と料理 しをり

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